セギュレは、クリュ名をエチケット(ラベル)に記載する権利を持つ15の村のひとつです。しかし、その権利を行使するかどうかは生産者次第。ダヴィッド家は、この名前に特別な意義を見出し、誇りを持っています。
「僕たちは代々この地で暮らし、ブドウ栽培を続けてきました。有機農法はずっと守り続けています。それは協同組合に卸していた頃から変わりません」と語るのはジャン・ダヴィッド。彼は、自分の名前を冠したワインを手に取る消費者が増えていることを実感しており、その期待に応えるため、細部まで心を配っています。
ジャンの哲学は明快です。「ワイン造りを台無しにするような、過度に厳しい有機農法は採用しません。手間を惜しまず、土の力が育んだ自生酵母を活かすことが何より大切です。そして、ワイン造りという創造の喜びを忘れたくありません」。
収穫期には畑で作業を共にし、自らブドウの状態を確認します。「ブドウを自分の目で確かめ、その年の収穫がどのようなワインに育つかを見極める。それが私にとって欠かせないプロセスです」とジャンは言います。
2015年と2016年にリリースされたワインは、まさに極上の仕上がりでした。ローヌ南部のクリュの中でも類を見ないほど調和の取れたワインで、その美味しさには感動を覚えるほどです。ジャンが目指すのは、洗練されたセギュレ・スタイル。隣接するシゴンダスの豊かな表現とは異なり、フレッシュで優美な味わいを追求しています。そのワインは、どこか造り手自身の人柄を思わせるものです。完熟した果実が生み出すほのかなタンニンが、全体を引き締める絶妙なアクセントとなっています。