マルセル・ラピエール

マルセル・ラピエールは、ヴァン・ナチュールの実現には生産者同士の協力が欠かせないと考え、その理念を最初に行動に移した人物です。彼はボジョレー地方で有名な「5人組」を結成しました。

このグループには、ジャン・フォワールジャン=ポール・テヴネギー・ブルトンジャン=クロード・シャニュデといった仲間たちが参加しており、それぞれ「プティ・ジャン」「ポルポ」「プティ・マックス」「ル・シャ」という愛称で親しまれていました。

1980年代、亜硫酸を使用せずにワインを造るという試みは非常に珍しいものでした。そのため、何か問題が起きたときのリスクを軽減するためにも、仲間と協力して取り組むのが理にかなっているとマルセルたちは考えました。

収穫期の夜には皆が試作品を持ち寄り、顕微鏡を使って酵母や微生物を観察することが日課となっていました。


マルセルは、特に優れた「観察眼」を持っていた人物でした。当時、ヴァン・ナチュールの醸造方法を深く理解し、数多くの酵母や微生物の中から有益なものを見極める技術を持つ醸造家は稀でした。さらに、彼ほど自身のワインの化学的特性に精通している生産者もほとんどいませんでした。

彼のもとには、ヴァン・ナチュールの製法を学びたいと願う世界中の生産者が訪れました。彼らはマルセルからワイン造りの知識やエピソード、失敗談を聞き、モルゴンのワインを共に味わいながら、多くを学びました。その結果、彼のもとで学んだ醸造家たちは新たな視点を得て地元に戻り、より良いワインを生み出すようになったのです。

2010年、収穫期の最中にマルセルが亡くなった際、ヴィリエーモルゴン地区の教会とビストロは彼を偲ぶフランス中の醸造家たちで埋め尽くされました。彼の影響は、今もなお多くの生産者の中に生き続けています。


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